2020プライドウィーク!LGBTQについて発信する海外Youtuber5人をピックアップ!

2020年のプライドウィークは4/25〜5/6。LGBTQ当事者や「アライ」と呼ばれる彼らを支持する人々のため、多くのイベントが開催されました。
今年も盛り上がりを見せた東京レインボープライドですが、「LGBTQってそもそも何?」「もっとLGBTQについて深く知ってみたい!」「もしかしたら自分も当事者なのかも…」なんて思いながらも、今までなんとなく学ぶ機会を逃してきた人もいるのでは?
人によっては、中々普段の会話の中で口に出すのが難しいトピック。この記事では、LGBTQについての基礎知識や、LGBTQについて発信するYoutuberを紹介します♡
2020年プライドウィークの概要
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そもそもプライドパレードとは、どういったイベントなのでしょうか?まずは日本と海外のパレードについてお話しします♡
■2020プライドウィーク『Your happiness is Mine』
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普段社会で様々な悪意や差別に直面する彼らにとって、年に1度ありのままの自分を表現し仲間と交流できる、レインボープライドは大切な場所。
1994年の「第1回レズビアン&ゲイパレード」の後、何度か中止されたものの当事者や、アライの方々の犠牲と勇気ある行動で、近年レインボープライドは毎年恒例の行事になりました。
レズビアンとゲイの方々を対象にした初回の開催から数十年、東京レインボープライドはLGBTに加え、クエスチョンやクイア、その他様々なセクシャリティーを包括するイベントへと変化を遂げました。
そんな東京レインボープライド2020のテーマは『Your happiness is my happiness 〜あなたの幸せは、私の幸せ〜』
新型コロナウイルスの世界的感染拡大で『普通の幸せ』が一瞬で奪われていく中「そもそも『幸せ』ってなんだろう?」と考えることが多くなりました。
「様々な形がある中で、それぞれの幸せが尊重されるべき」そんな思いが、今年のテーマに込められていました。
新型コロナウイルスの影響により今年のパレードは中止に。しかし、イベントを楽しみにする参加者のためにオンラインパレードが開催され、インターネット上で多くの人々がつながりました。
■海外のプライドパレードは?
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LGBTQ問題においては、日本よりも進む欧米をはじめとする海外諸国。海外でのレインボーパレードやプライドウィークは、どうなっているのでしょうか?
そもそも、レインボープライドの発端は1969年、アメリカ・ニューヨークで起きた「ストーンウォールの反乱」。
ゲイバー「ストーンウォール・イン」が、警察による踏み込み捜査を受けたことにより発生したデモや、運動のことを指します。
「ストーンウォールの反乱」が6月に起きたことで、アメリカでは6月がプライドマンスとされています。
世界でも指折りの規模と言われるNYやブラジル・サンパウロのプライドパレードは、毎年6月に開催されます。
「ストーンウォールの反乱」や、レインボーカラーのルーツについてはこちらもチェック✴︎

といっても、パレードの開催=6月というわけではありません。カナダのバンクーバーでは8月、ロンドンでは7月にパレードが開催。アメリカ国内であっても、都市ごとに開催時期は様々です。
いかなる国・都市においても目的は同じ。世界各国・各都市で、性的指向にかかわらず平等な社会の実現を目指す人々が集います。
一方、世界にはまだ性的マイノリティーの権利が認められず、パレードを開催することができない国も。
ロシアをはじめとする旧ソビエト連邦圏や中東諸国では、性的マイノリティーでいることが時に命の危機を意味します。
中東に位置するサウジアラビアでは、同性愛者やトランスジェンダーでいることが法律で厳しく罰せられ、最悪の場合は終身刑や鞭打ちを受ける場合もあります。
日本を含むアジアでも、プライドパレードを取り巻く状況は様々。
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2019年20万人を巻き込んだ、アジアで最も大きなプライドパレードを開催したのは台湾。
トランスジェンダーに寛容とされるタイのパレードでは、毎年華やかな服装の参加者がプーケットの通りを彩ります。
東南アジアに位置するブルネイやインドなどでは、宗教などの理由でプライドパレードの開催が難しくなっています。
LGBTQについて発信する海外Youtuber
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LGBTQに関しては、義務教育で深く学ぶのが難しいというのが日本の現状。そこで今回は、現代の若者にとって人気なプラットフォームの1つであるYoutubeで、LGBTQについて発信する海外Youtuberを紹介します。
■LGBTQ Youtuber(1):Allie & Sam
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まずはLGBTQの1文字目である、レズビアンYoutuberから。レズビアンというのは、自身を女性と自認(=性自認と呼ばれます。)しながら、女性に恋愛・性的感情を抱くセクシャリティ(=性的指向と呼ばれます。)のことです。
AllieとSamは、カナダのノバスコシア州を拠点とするレズビアンカップル。同性婚が認められるカナダに住む2人はすでに結婚しており、チャンネルには彼女たちの出会いから結婚に至るまでなど、レズビアンカップルが気になるコンテンツが盛り沢山!
また“lgbt travel couple”を自称する彼女たちは、カナダ以外にも様々な国・地域を旅しており、AllieとSamのYoutubeには映画のような綺麗な映像ばかり。
同性婚やレズビアンに関して、関心がある・ないに関わらず楽しめる、オシャレチャンネルです。
■LGBTQ Youtuber(2):Troye Sivan
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次に紹介するのは、歌手として有名なトロイ・シヴァン(Troye Sivan)ゲイというのは、自身を男性と自認しながら男性に恋愛・性的感情を抱くセクシャリティのこと。
今でこそ歌手として有名な彼ですが、元々Youtube出身のトロイ!2013年には、自身のYoutubeチャンネルでファン達に、ゲイであるとカムアウトしました。
2016年には「Is it easier to get AIDS if You Are Guy?」(ゲイはAIDSにかかりやすい?)という、タイトルのビデオをアップロード。
80年代はゲイの病として恐れられましたが、ゲイとAIDSに直接の関係は全くありません。治療薬がなかった当時に広がったこのイメージは、40年以上経った今でも根強く残っています。
その他にも「How To Have Sex. Safely!」といった、中々メインストリームのメディアでカバーされないコンテンツが、盛り沢山のYoutubeチャンネル。
こういった問題について、書籍や教科書を通して学ぶことにためらいを感じる方も、少し手段を変えてみるとやりやすくなるかもしれません。
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トロイは幼い頃から子役として活動しており、2018年に日本で公開された「ある少年の告白」では、同性愛を“治す”ために矯正セラピーに参加させられた少年役の1人を演じました。
他にも、トロイが3年前にリリースしたアルバム『Blue Neighborhood』に収録されたWILD、FOOLS、TALK ME DOWNのミュージックビデオで、ゲイの少年役を演じたトロイ。
Youtubeチャンネルに加え、トロイ自身が出演する映像作品もぜひチェックしてみては?
■LGBTQ Youtuber(3):Georgia Bridgers
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次に紹介するのは、バイセクシャルとして動画を配信するGeorgia。バイセクシャルは、日本語で両性愛。男性と女性の、両方の性別を恋愛・性的対象とします。
バイセクシャルのジョージアのYoutubeチャンネル登録者は30万人!(非)公式LGBTQアドバイザー(lgbtq (un)official advice giver)を名乗る彼女が、アップロードする動画の多くは、LGBTQ関連。
「CAN YOU BE RELIGIOUS & GAY?」(宗教と同性愛は共存可能?)や、「BEING BI IN A SORORITY」(*ソロリティーでバイセクシャルであるということ)など、気になるコンテンツがたくさん。
*ソロリティー…アメリカなどの大学に存在する女子学生のための社交場のようなもの。
その他にも、トロイのようなカミングアウトビデオや、自分のセクシャリティーに気づくまでのストーリーについて語る彼女。
自身のセクシャリティーがまだ分からない人にとって、こういったLGBTQ Youtuberの動画を通して自分を模索してみるのも1つの方法です。
■LGBTQ Youtuber(4):Chella Man
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ゲイ・レズビアン・バイがセクシャリティーという、いわば好意の対象を示す言葉であるのに対し、トランスジェンダーというのは心の性別を表すジェンダー(=性自認)のこと。
そもそもトランスジェンダーと言っても、バリエーションは様々。体と心の性が一致せず手術を望む「トランスセクシュアル」や、体と心の性は一致するが、それと異なる振る舞いや服装を好む「トランスヴェスタイト」など、人によって異なります。
そんな定義が難しいトランスジェンダーですが、ここで紹介するのはChella Man。
中国/ユダヤ系アメリカ人で聴覚障がいを持つチェラは、NYを拠点にするアーティストでありながら、LGBTQや難聴コミュニティでも活動中。
体は女性として生まれた彼は、男性ホルモンの1種であるテストステロンを投与し、徐々に声が低くなっていく過程を撮影した動画で有名になりました。
長く違和感を抱いていた、自身の体から抜け出すため受けたバスト除去手術直後の様子や、生々しい傷痕も公開しています。
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そんなChellaのYoutubeチャンネルのもう1つの魅力が、パートナーであるMary V(メリー・ヴィー)の存在。
チェラと出会った当時は、当たり前のように自分はストレート(=異性愛者)だと思っていたメリー・ヴィー。
パートナーとの関係性の中で自身のセクシャリティを模索した彼女は、性転換を行うパートナーと付き合うとはどういうことなのか、そして自分に何ができるのかなどを動画の中で語っています。
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聴覚を補助する器具なしで会話が難しいチェラのため、手話を習得したメリー・ヴィー。
性別やセクシャリティーはもちろん、様々な壁を乗り越えてきたふたりの動画はオススメです♡
■LGBTQ Youtuber(5):Hitomi Mochizuki
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LGBTQ最後の文字であるQは、クエスチョン/クイアの略。あのマイリー・サイラスも、自身をクイアと名乗っています。
クエスチョンは文字通り「?」のこと。自身のセクシャリティーをクエスチョン、つまり模索している人のことです。
続いてクイアについて。英語のQueerという言葉、元々は「奇妙な」という意味で、以前は非常にネガティブな蔑称でした。
その後、時代とともに言葉の意味が変化し、現在ではLGBT含むセクシュアルマイノリティ全てを包括する言葉になりました。
性的少数者といっても、バリエーションは様々。色のグラデーションのように、セクシャリティーやジェンダーは人によって異なります。
今では、LGBTの他にパンセクシャルやア(エイ)セクシャルなども、耳にする機会が増えました。
*パンセクシャル…人を好きになる際に、相手の男性・女性という性別が条件でなく、その2つのカテゴリーに含まれない人も恋愛・性的対象とします。
*アセクシャル…時にエイセクシャルとも言われます。他者に関して恋愛や性的感情を抱かないことを意味します。
また「1年前自分はバイセクシャルだと思っていたけど、今は男性の方が好き」と言うように、セクシャリティーは必ずしも固定されたものではありません。
そこで、自分をLGBTや1つのセクシャリティーにカテゴリー化するのではなく、あえて全てを含むクイアという言葉を用いる方もいます。
以上の理由から、1人のYoutuberをQueer枠代表として選ぶことは難しいのですが…。
ここでは、日本とベネズエラのハーフでNYに住むHitomi Mochizukiを、ご紹介します。
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HitomiのYoutubeは、必ずしもセクシャリティーやジェンダーについてではないのですが、男性と付き合いながらも女性に性的感情を抱いた経験など、グラデーションのように変化する、性的対象などの気になるトピックがたくさん!
同じNY在住で、先ほど紹介したChella Manとも親しい友人でもあり、HitomiのYouTubeでは2人のコラボ動画を見つけることができます✔️
セクシュアリティーの他にも、性行為やオープン・リレーションシップなどについても、カバーする彼女のYoutubeチャンネル。
日本とのハーフということもあり、来日した際の動画などもあるのでぜひチェックしてみてはどうでしょうか?
【プライドウィーク】LGBTQについて考えるきっかけに
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ここまで5人のLGBTQ Youtuberを紹介してきました。最後に、もう少しLGBTQを取り巻く状況について知っていただければと思います。
■LGBTQを支持する海外セレブ達
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海外には、LGBTQコミュニティーをサポートするセレブがたくさん!
ドリューバリモア
“No one has any right to tell anyone what makes a family”
―何が家族なのかを他人に指図する権利なんて誰にもない。
ハリー・スタイルズ
“I think stuff like equality feels much more fundamental. Anything that brings people together is better than things that pull people apart”
―平等みたいなものって、もっと基本的な気がするんだ。人々を結託させるものは、人々を引き裂くものよりずっと良い。
デュア・リパ
“I want to create a really safe environment for us all to have fun…I want us all to have a really good time.”
―私たち全員にとって安全な環境を作りたいの。私たち全員が楽しめる時間を作り上げたいの。
レディー・ガガ
“ When I started in the mainstream it was the gays that lifted me up. I committed myself to them and they committed themselves to me, and because of the gay community I’m where I am today.”
―メインストリームで歌手として活動し始めた頃、私を有名にしてくれたのはゲイコミュニティーだった。私は彼らに身を委ねていたし、彼らもまた私に身を委ねてくれたの。彼らのおかげで今の私があるわ。
この他にもアリアナグランデ、ハリーポッターのダニエルラドクリフや歌手のHalseyなど…LGBTQコミュニティーをサポートする海外セレブは、たくさん!
政治問題に口を閉ざす有名人が多い中、彼らにとってはLGBTQの問題は、政治問題というよりも「誰しもが与えられるべき権利の問題」という認識が強いのかもしれません。
■LGBTQ問題における日本の現状
2001年に、同性婚が合法化されたオランダに続いたアメリカやカナダなどの欧米諸国。
近年ではアジアで初の国として、台湾が同性婚を合法化するなど、現在世界で25を超える国が同性婚を認めています。
一方日本での同性婚は許されておらず、各自治体によって結婚に似た制度があるだけです。
日本は、女性と男性という性別が仕事や社会システムと深く関連しており、この2つのカテゴリーからこぼれ落ちることが、非常にネガティブに捉えられます。
ただ好きになる相手が他人と違うだけ、心の性別と見た目が一致しないだけで、国民・人間として当たり前の権利が奪われてしまうのが現状です。
また法整備だけでなく、日本は学問の面でもLGBTQ問題で遅れています。実際私は留学先のアメリカの大学でLGBTQ学を専攻していたのですが、日本におけるLGBTQ学やクイアスタディーズというのは、欧米諸国ほど確立されていません。
■LGBTQコミュニティのためにできること
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セクシャリティーは、私たちが思うほど固定されたものではなく、今日好きな性別が明日も好きな性別とは限りません。
またLGBTQコミュニティーをサポートしたくても、どこから始めれば良いか分からない方や「難しそう」という印象を持っている方も多いかと思います。
確かに、これまで当たり前だと思っていた常識を覆した発想には、最初は戸惑いを覚えるかもしれません。
ですが、知識を得ることは世界の見方を変えるための最初のステップ。プライドウィークが終了した今をきっかけに、Youtubeで少しずつLGBTQについて知ってみるのはどうでしょうか?