【中絶禁止法】に対するセレブと海外企業のリアクション

『Abortion is Healthcare』これは、”妊娠中絶をすることは女性の健康のための権利である”という意味です。

今、アメリカの南部を中心として、この女性の健康のための権利が脅かされています。2019年に入った頃から、この権利を奪う法律である『人工妊娠中絶手術を禁止する法案』を成立させ、施行の準備を進める州が増えています。

これに対して、アメリカ各地では議論が白熱!そして、影響力を持つエンタメ界のセレブや企業も、この法律に対して意見表明をしています。

海外に意識を向けてるセレシー読者の皆さんにも、このムーブメントを通して女性の権利などについて少し考えてもらえたら嬉しいです。

アメリカの8つの州で中絶禁止法が成立


成立した州は、最も厳しい規制を設けたアラバマ州を含めて8州。そのほとんどが、南部・中西部に集中しています。

まずは、この法案がなぜ成立したのか?また、何が具体的に女性の権利を奪うのか?について説明します!

■なぜ成立したの??


アメリカでは、1973年に裁判で人工妊娠中絶を認めました。アメリカ合衆国憲法により、女性の権利が保証されているという判断がされたのです。

ところが、アメリカでは宗教的バックグラウンドが政治に大きな影響を与えています。

それによってできるグループの1つに、”中絶は悪いことでしてはいけない。”ということを主張するグループがあります。このグループが、約50年の時間の中で、政治に大きな影響を与えてきたというのが理由の1つと言われています。

そして、2019年に入ってからそのグループの活動が活発化してきました。同じグループの議員ばっかが議会に集まってしまった結果、中絶禁止法が成立し、施行の準備が進められているのです。

また、アメリカ南部・中西部にはリベラル派ではない人が多いというのも、この問題の1つの要因となっていると言われています。

実際に、アメリカに住んでいた私の感覚として、日本以上に宗教や政治の持つパワーが大きいことを感じました。政治学の授業を取っていた時にも、政治上の出来事と宗教の関係性はマストで取り扱ってました。

■女性の権利問題


最も厳しい規制を設けたアラバマ州では、母親の健康に『重大な』リスクがある場合を除いて、中絶を全面禁止しました。

例えば、女性側が性的暴行による妊娠をした場合でも、例外は認められないのです。この場合でも、人工中絶手術を施した医師に対して、90年の禁固刑を科すというのです。

これに対して、性的暴力の被害者である女性の権利がゼロである、という批判のデモが各地で起きています。さらに、近親相姦などのケースでも例外とは認められないのがこの法案の現状です。

もし、実際に施行されたら、多くの女性の権利が著しく奪われる可能性があります。

さらに、合法的に手術を受けられないとすると、危険な方法で中絶に踏み切る女性も出てきてしまいます。また、手術のために違う州に行くこともできますが、お金がなかったり、障害があったりすると中々現実的な方法ではありません。

ハリウッドがジョージア州での映画事業をボイコット


ジョージア州も、この中絶禁止法を成立させた州の1つです。

近年、ジョージア州ではハリウッド映画の撮影が数多く行われていました。南部映画撮影地のメッカとして経済効果も得ています。有名なのはNETFLIXの『クィア・アイ』やディズニーの『アベンジャーズ』もジョージア州にて撮影されました。

しかし、今回の法律が成立されたことを知ったハリウッドの映画関係会社は、次々に異議を唱えました。NETFLIXは、正式にジョージア州での、撮影中止の検討を発表しています。また、ディズニー社も、撤退を示唆するコメントを出しています。

また、『スターウォーズ』シリーズの監督、J.J.エイブラムスは、中絶禁止法に反対する団体に多額の寄付をしました。

グッチはファッションショーで反対を表明


イタリアのファッションブランド・GUCCIは、ローマで行われたファッションショーで、この法案への反対立場を明らかにしました。

この、トップスの”22.05.1978″というのは、イタリアで、女性の意思による中絶が認められた法律成立日が由来です。

■MY BODY MY CHOICE ジャケット

 

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『私の体は私が決める』これは、1970年代のフェミニズムのスローガンです。まさしく、今のアメリカ南部・中西部の女性達の心の声を表しています。

デザイナーのアレッサンドロは「女性が選んだすべての選択肢をリスペクトします」とコメントしています。『MY BODY MY CHOICE』の言葉通り、妊娠を続けるかどうかの選択をする権利は女性にあると訴えました。

■子宮スカート

 

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こちらは子宮を刺繍したスカート。アメリカで法律が成立してから約2週間後に、GUCCIはこのコレクションを通して反対の立場を表明しました。

また、GUCCIは2013年から、ジェンダーの平等を求めるキャンペーン『チャイム・フォー・チェンジ』を立ち上げています。アメリカでの中絶禁止法に対する、反対表明をファッションを通して世界に発信しました。

中絶禁止法に反対表明をしているセレブたち


法律の成立を受けて、多くのセレブ達がSNSや、メディアインタビューを通して反対表明を表しています。中には過激なものもありますが、女性の権利についてセレブ達なりの、意見が飛び交っています。

■ビリー・ポーター

 

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俳優・歌手のビリー・ポーターはトニー賞の舞台に、『子宮ドレス』で登場しました。このデザインを通して、中絶禁止法反対を表しました。ドレスのスカート部分の刺繍が、子宮をモチーフしたデザインになっています。

以前から、ジェンダー問題に積極的に意見を発表していたビリー・ポーター。インタビューでは、「女性の権利が攻撃されています。すべての人が自由になれるまで、私達は本当の自由を手に入れられません」とコメントしました。

■リアーナ

 

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リアーナは自身のインスタグラム上に、アラバマ州議員の中で、で賛成票を入れた議員の写真を公開しました。

リアーナは、「なんで男性が女性の決断権を奪うの??」とコメントしました。

女性の権利を奪った、男性議員に疑問を投げかけるこの投稿には、80,000以上のコメントが寄せられています。コメントの中には、議員が全員”ホワイトマン”であることを指摘する声も上がっています。

■エマ・ワトソン

 

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エマ・ワトソンのこの投稿は、400万を超えるLIKEをされています。

エマはジョージア州で成立した『心拍法』(胎児の心拍を確認できる6週目以降の中絶を禁止すること)に対して疑問を投げかけました。

「多くの女性は、6週目の時点で妊娠していることに気づくことができません。また、中絶手術を受けた女性さえ罰せられるのは間違っている」とコメントしました。

また、エマは現在、中絶手術を法律で禁止している北アイルランドの女性たちにもメッセージを送っています。多くの女性たちの決断を応援すると発表しています。

■ミラ・ジョボヴィッチ

 

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ミラ・ジョボヴィッチは中絶経験者であることを、自身のインスタグラムを通して発表しました。彼女は2年前に、撮影中の体調不良から手術を受けたという辛い過去をシェアしました。

ミラは「もしかしたら、この法案のせいで危険な方法で中絶をする女性が増えるかも」ということを危惧しています。自身の経験を基に「安全な方法で手術を受けるのは、女性の権利」と主張しています。

まとめ


日本では、あまり多くの人が語ることのない中絶手術。海を超えたアメリカでは今、多くの人達がこの権利を守ろうと戦っています。

女性が自分の意思で自分の体を決める、という基本的な権利が奪われてしまったら命の危険だって増えてしまうし、人生が大きく変わってしまいます。

私達が、直接何かできることはとても少ないです。しかし、海外メディアからの情報を調べてみたりして、”知る”ことが、権利を求めて戦う人たちの、助けになる時がくるかもしれません。

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