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私たち日本人も無自覚に差別をしているかも?「白人の特権」とは?

5月のジョージ・フロイドさん殺害事件に始まり、2020年は人種差別に抗議するBlack Lives Matter運動が世界中で広がりました。

日本のメディアでも、この根深い人種差別問題について多く取り上げられましたが、自分は黒人ではないしアメリカに住んでいるわけではないからと、この問題を他人事にしていませんか?

人種差別は決してアメリカだけの問題ではなく、世界全体の問題であり、誰もが抱える問題でもあります。

今回の記事では、大学でアメリカ政治を専攻し、特に人種差別について勉強してきたライターが、私たち日本人のもつ「白人の特権」について、お伝えしたいと思います。

白人の特権について知ることで、人種差別問題の見方や社会の見方が大きく変わるはずです。

2020年に起きた主な人種差別事件


ここでは、Black Lives Matter運動が世界中に広がった2020年に起きた主要な人種差別事件を時系列でおさらいします。

■3月:ビヨンセやカーディー・Bも抗議したブリオナ・テイラー事件


2020年3月、ケンタッキー州に住む当時26歳だったブリオナ・テイラーさんが、自宅で就寝中に突然3人の警察官に銃撃され、死亡する事件が起こりました。

この事件で3人の警察官のうち2人は正当防衛として不起訴、1人は発砲により隣家を危険にさらしたという罪で起訴されました。

つまり、1人の無実の人間が殺されたにもかかわらず、誰1人として殺人の罪で起訴されていないのです。

この事件に対しては、テニスの大阪なおみ選手がブリオナ・テイラーと、名前が書かれたマスクをして大会に登場したり、ビヨンセやカーディー・Bなど多くの著名人も抗議しました。

■5月:ジョージ・フロイドさん死亡事件


世界中にBlack Lives Matter運動が広がる、大きなきっかけとなった事件を改めてご説明します。

アメリカ中西部ミネソタ州で、武器を持たないアフリカ系アメリカ人男性のジョージ・フロイドさんは、白人警官によっておよそ8分間に渡って首を膝で押さえつける形で拘束され、その後亡くなりました。

フロイドさんを死亡させた白人警官は、その後殺人罪で起訴され、刑務所に収容されていましたが、10月におよそ1億円の保釈金が支払われたことで釈放されました。

結果として、この事件に関わった警察官全員が釈放されることとなり、正義とは程遠い結果となりました。

フロイドさんの死亡に関わった警察官の1人はモン族というアジア系であり、さらにフロイドさんを死亡させた白人警官の妻も、モン族系であることが明らかとなっています。

このことから、差別に敏感であるはずのマイノリティでさえも黒人差別に加担してしまうこと、黒人に対する差別やステレオタイプが、いかに根深いかがわかります。

■8月:米中西部で無実の黒人男性銃撃事件


8月にまたもアメリカ中西部、ウィスコンシン州で警官が無抵抗の黒人男性ジェイコブ・ブレイクさん(29)が、背後から7発も銃撃される事件が起きました。

警察は、家庭内トラブルに対応するためにブレイクさんの自宅に駆けつけたと説明していますが、銃撃に繋がった経緯は明らかになっていません。

ブレイクさんは下半身が麻痺する後遺症を負い、再び歩くことは困難であると言われています。

ジョージ・フロイドさんの事件から3ヶ月後に起きたこの事件もまた、多くのメディアで取り上げられ、各地でデモが再び活発になるきっかけとなりました。

以上の3人の事件のように、無実のアフリカ系アメリカ人が白人警官によって殺される事件は、これまで何度も発生しています。

しかし、大々的に報道される事件はごくわずかであり、また被害者側が有罪判決を勝ち取ることはほとんどの場合、困難であることが事実です。

差別を生み出す社会システム「制度的差別」とは


人種差別がなくならない理由の1つとして、社会のシステムに問題があると言えます。

「制度的差別」とは、人種差別が国の制度や法律に反映され、社会構造自体がマイノリティを不利にさせる差別のことを指します。

この社会システムの中では、マイノリティである黒人は生まれた時から自動的に、社会的不利な立場で生きることになります。これは黒人自身の問題ではなく、社会がそうさせているのです。

このような社会になった経緯としては、奴隷制が廃止されたずっと後の1930年頃に行われていた、白人と有色人種を分ける人種隔離政策にあります。

人種隔離政策の1つとして政府は、黒人が多く住む地域を赤線で囲み、その地域の住民が住宅ローンを組むなどの、あらゆるサービスの提供を拒否しました。

レッドライニングと呼ばれるこの政策によって、貧しい地域の彼らは教育の機会が制限され、結果として白人と黒人の貧富の格差が広がることなりました。

この制度は1960年代に廃止されましたが、その影響が現在にまで影響を及ぼしていて、制度的差別の形となっているのです。

今回のコロナ禍でも、白人と有色人種の医療の格差が浮き彫りとなりました。The COVID Tracking Projectによると、黒人のコロナでの死亡率は白人の2倍以上も高くなっています。

その理由は、貧しい地域に住む黒人市民は医療へのアクセスが難しいからです。

制度的差別は、個人を攻撃する明らかに目に見える差別とは違い、社会全体に組み込まれているために見えづらく、克服するのが難しいことが特徴です。

人種差別をする側の心理から考える「白人の特権」について


アメリカ社会において、アフリカ系の人々は抑圧される立場のマイノリティである一方で、マジョリティである白人は、日々様々な恩恵を受けて生きています。

ここでは、そんなマジョリティが持つ特権について詳しくお話しします。

■「白人の特権」とは?


「白人の特権」とは、白人が社会の中で優位な立場にいることを可能にする、彼らが生まれながらに何の努力もなしに、手に入れることのできる権利のことです。

白人をはじめとするマジョリティのほとんどは、自分が社会の中で優位な立場にいることを可能にする、白人の特権という存在に気づいておらず、彼らは無意識にこの特権性をあてにしながら生きています。

白人の特権のいくつかの例がこちらです。
・道を歩くときに危険を感じない
・自分の人種について気にして生きなくていい
・人種を理由に犯罪の疑いをかけられなくて済む
・その人種の代表として話すことを求められなくていい
・広告を見ると自分と同じ人種が大々的に出ている
・有色人種の文化に無関心でもほとんどの場合何の問題も起きない

これらの特権への無自覚さがマイノリティを抑圧し、気づかないうちに人種差別に加担しています。

これは、たとえ自分はレイシスト(人種差別主義者)ではないと思っていても、ほとんどの白人は幼い頃から人種の違いを口にすることは悪いことであり、社会は人種に関係なく、全員に平等に権利が与えられる実力社会であると教わって育つため、自分の人種や自分が持っている特権に無自覚なのです。

このように、マジョリティの特権への無自覚さも人種差別がなくならない要因の1つとなっています。

ファッション界に溢れる人種差別と闘うセレブ達

■日本人であることの特権と日本の人種差別


これまでアメリカの白人が持つ特権について話をしてきましたが、私たち日本人も彼らと同じように特権を持っています。

日本において人口の98%以上を占める私たち日本人は圧倒的なマジョリティであり、社会の中で強者のポジションにいます。

ということは、私たちもあの無実のジョージ・フロイドさんを押さえつけて死亡させた白人警官と同じ立場にいて、彼と同じ特権を持っていると言えるのです。

特権への無自覚さのせいで私たちも、人種差別の加害者になりうるポテンシャルを持っています。人種差別問題を他の国の出来事として、他人事のように片付けることは、とても危険なのです。

実際、日本にはたくさんの人種差別があります。

例えば、日本のお笑いでは差別をネタにして笑いをとろうとする風潮が未だに見られ、外国人に対する日本の警察の差別的な職質も、日々たくさん起きています。

しかし、これらがメディアで取り上げられることはほとんどありません。このような事を踏まえると、日本人であることの意味を今、もう1度考える必要があるのではないでしょうか?

■特権を活かして人種差別に抗議しよう


特権を持ち社会的に強者である私たちは、その特権を活かすことでマイノリティに代わって、社会に働きかけることができるパワーがあります。

マイノリティがいくら声を上げても社会の大半を占めるマジョリティ全体に、声を届かせることは難しいです。

しかし、マジョリティが立ち上がりマジョリティに向けて発信することでより大きな声になり、マイノリティだけでは成し遂げることが難しかったことが可能になります。

マジョリティである私たちは、マジョリティである特権を活かすことで社会全体の意識を変える大きな力となるのです。

人種問題に関して私たちにできること


自分が持つ特権に気づいたからには、マジョリティとしての責任を果たしていくべきではないでしょうか。

今年、世界中に影響を与えたBlack Lives Matter運動はSNSを通じて急速に広まり、人種差別への関心がこれまで以上に高まりました。

特に若い世代が積極的に呼びかけ、共に差別に闘っていこうとする物凄いエネルギーを感じた人は多いと思います。

2020年はコロナウィルスをはじめ、暗いニュースが多く目立ちましたが、これからの社会を創っていく若い私たちがこれほど奮闘しているのだから、きっと未来は明るいです。

もちろん声を上げることだけが、良いわけではありません。少しでも人種差別問題を”自分事”として捉え、マジョリティとしての意味や社会の構造を知ることが大切だと思います。

この記事が人種差別問題を、新しい視点で考えるきっかけになれば嬉しいです!

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Natsuki

1999年生まれの大学生。アパレルショップでアルバイトをしながらライターをしています。海外旅行とNetflixが大好きで、将来は海外で働くことが夢です。CE...

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