Stop Asian Hate!コロナでアジア人差別が激化?セレブの発言と元留学生が感じた差別とは?

アメリカでアジア人に対するヘイトクライムが激化
2020年に入りアメリカを中心に、アジア人に対するヘイトクライム事件が急増。約1年間で3700件をも超える事件が報告され、中には殺人事件に発展するものまで発生しています。
今アメリカでアジア系アメリカ人に対しヘイトクライムが増えている原因は、2020年に入り世界中で流行しているコロナウイルス。
アメリカ元大統領のドナルド・トランプがコロナウイルスを「the Chine Virus(中国のウイルス)」と呼んだり、皆コロナに対するストレスが溜まっていたりする事がヘイトクライムを助長していると言われています。

コロナ前からアジア人差別はあったの?
最近になって問題視されているアジア人差別。しかし、アジア人に対する差別は決して最近になって出てきたものではなく、ずっとアメリカに存在しているものなんです。
実はアジア系アメリカ人は、アメリカで昔から変わらず『他者』として捉えられ続けているとされています。
アメリカ・ロサンゼルスに留学経験のある私は、アメリカのある大学に留学中、授業の一環で「アメリカにアジア系アメリカ人に対しての差別はあるのか」という事を調べてみました。
アメリカでは度々黒人に対する差別が問題視されていますが、アジア人に対する差別はそこまで聞いた事がなかった事、そして自分自身が日本人であることから興味を持ち、様々な資料・文献・ニュースを参考にしリサーチしました。
その結果、アジア系アメリカ人は21世紀に入った今でも日常生活の中で度々差別や、脅威を感じる人がいる事を知りました。
特に問題視されているのは、アジア人に対し「ステレオタイプ」を持たれている事。例えば「アジア系アメリカ人はアメリカ社会のマイノリティの中でもモデル的存在だ(働き者で賢いイメージがある為)」「高い社会的地位を持っている(仕事で成功・昇進している)」などのステレオタイプが根付いている様です。
一見、良いイメージの印象を持たれている様に思えます。しかしアジア系だからといって、全ての人がそのイメージ通りではないですよね。
これらのステレオタイプが原因で、アジア系アメリカ人はネガティブな態度を取られたり、嫌な思いをする事がある様です。実際にある研究で、アジア系アメリカ人のうち78%の人が2週間の内で、差別的な経験をしたというデータが出ています。
差別には「自覚なき差別」が多く、先ほど言及したステレオタイプに基づく、悪気のないアジア人差別が多い様です。これにより実害として、人種に関連したストレスを感じる人、自己肯定感の低下、対人関係問題、就職問題を抱えるアジア系アメリカ人は決して少なくはありません。
このような差別は以前から存在していたアメリカですが、コロナウイルスの蔓延によりステレオタイプに関連した差別に加え、コロナに関連した差別が新たに発生しました。
2020年には、アジア人に対するヘイトクライムが年間約150%以上も急増。2021年2月だけで見てみると、なんと前年同月と比べ約867%も事件数が増えています。
アメリカ留学中アジア人差別を経験した?
アメリカ留学中、私は実際に差別を経験したのかという点ですが、私は最近頻発しているようなアジア人に対する差別や暴力を受けたことはありません。周りにその様な扱いを受けた、日本人留学生もいませんでした。
私が留学した先はロサンゼルス。ロサンゼルスは世界中から沢山の人が集まる場所で、色々な人種の人が生活している場所です。日本人がいても珍しくはない為、差別を経験する事なく安全に過ごせたのだと思います。
『#StopAsianHate』アジア人差別に対する海外セレブの発言
次々と起こっているアジア系に対するヘイトクライム。これに対し多くのアジア系セレブ達が発言し、行動を起こしています。
■サンドラ・オー
『グレイズ・アナトミー』でお馴染みの女優サンドラ・オーは、韓国人移民の両親の元カナダで生まれた韓国系カナダ人。
3月10日・19日には、アジア系コミニティーをサポートする為の募金を自身のインスタグラムで呼び掛けています。
3月20日、アメリカ・ピッチバーグにてNetflix作品を撮影中だったサンドラ・オーは、現地で開かれていた『Stop Asian Hate(アジア人差別を止めよう)』のデモに参加し、スピーカーを使い差別に対して声をあげました。
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「もしあなたが何かを目にした時、私を助けてくれますか?」「私はアジア系であることを誇りに思います!」など発言し、デモに参加していた沢山の人々も同調しました。
■ルーシー・リュー
台湾からの移民の両親の元に生まれたアメリカ出身の女優、ルーシー・リューは台湾系アメリカ人。『チャーリーズ・エンジェル』シリーズや、アニメの声優などでも活躍する人気女優です。
ルーシー・リューは自身のSNSで『Stop Asian Hate』を呼び掛けるだけではなく、CNNのニュースにも出演。子供時代やキャリアを通し、ステレオタイプに基づく差別的経験を受けたと語りました。
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さらに、アメリカには未だに人種に基づくカーストがあると言及。社会に良い結果をもたらす為には「黒人」「アジア系」とそれぞれの人種を分けて考えるのではなく、皆が一致団結するべきだと話しました。
■チャールズ・メルトン
米ドラマ『リバーデイル』のレジー役で、一躍人気になったチャールズ・メルトンはアメリカ人の父と韓国人移民の母を持つ、アメリカ出身のモデル兼俳優。
彼はアメリカの『Variety』にコラムを投稿。白人の父とアジア人の母を持つ為「自分は白人でもなくアジア人でもない。ずっと自分の人種のアイデンティティは何なのか問い続けている。」と語りました。
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そして今まではアジア人に対する差別的な問題を目にしても、行動は起こさなかったというメルトン。しかし、急増するヘイトクライムにより彼の考えは変わった様です。
これからはまず問題をきちんと知る事から始め、さらに様々なメディア等を通し自分がアジア系アメリカ人である事から得た経験等を、積極的に世界に発信して行きたいと語りました。
■ジェン・イム
YouTubeを中心に、ブロガーとして活躍するインフルエンサーのジェン・イムは韓国人両親の元に生まれ、ロサンゼルスで育った韓国系アメリカ人。
ジェンは自身のインスタグラムに、彼女の両親の写真と共に両親の渡米の経験をシェア。そしてジェンは「アジア系アメリカ人はずっと『Others(他者)』と分類され、モデルマイノリティと認識されている」と言及しました。
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そして「何かおかしい事が起きていたら、誰かが間違った事を言っていたら優しく訂正してあげて下さい。私たちは皆平等であるという事を再認識する事が出来る会話を通して変化を生むことが出来ます。」と呼び掛けました。
■BTS
今世界的ブームのK-POP。その台頭を担っているのはBTSではないでしょうか。
BTSは、3月30日にTwitterにて韓国語と英語でアジア人差別に対する声明を発表。ヘイトクライムによる犠牲者や、その関係者に対し追悼のメッセージを述べた上で、彼らの経験や考えを語りました。
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BTSのメンバーもアジア人差別を経験し「どうしてアジア人が英語を話すんだ」と聞かれた事もあると明かしました。そして人種差別問題についてどのようにメッセージを発するか、メンバー間で注意深く時間を掛け話し合ったそうです。
話し合いの結果、Twitterに声明文を投稿する事を決め「私達は人種差別に反対します。私達は暴力を非難します。あなた、私、全ての人は尊重される権利があります。私達と一緒に立ち上がりましょう。」というメッセージを発表しました。
『#StopAsianHate』差別のない社会の為にまずは知る事から
いかがでしたか?日本人として、アジア人として、何か感じる物があったのではないでしょうか。
日本で生活していると人種差別を経験する事も少なく、また人種差別について考える機会も少ないですよね。私も実を言うと、大学の授業で学んだりアメリカに留学するまでは、深く考える事はなかった問題でした。
実際に人種差別を無くす為に何か行動する事ももちろん大事ですが、まずはしっかりと今起きている問題や人種差別の実態など「知る」という事が大事だと思います。
日本で生活していると感じづらい問題だからこそ、積極的に調べたり感じた事や経験した事を発言していく事が重要ではないでしょうか。
まずは「知る」事から。私達1人1人のちょっとした行動で差別のない世界になる事を願っています。