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多様性を目指した「アラジン」に存在する隠された人種差別とは?

現在大ヒット上映中の実写版「アラジン」

大迫力の映像技術と感動的な音楽が素晴らしいこの作品ですが、少し視点を変えて見てみると新しい魅力が発見できたり、隠れた問題点が見えてきたりします。

そこでここでは実写版「アラジン」を少しクリティカルな視点で分析していこうと思います!

新しい視点に出会うことでもっともっと映画「アラジン」を楽しめるかもしれません!

実写版「アラジン」の良いところ


1992年に公開されたアニメ版「アラジン」から27年が経ち、今回の作品が現代の社会背景に合わせるために努力した評価できる点を3つ紹介します!

その①:アニメ版とは別人のジャファー


実写版を見た人は、悪役であるジャファーがアニメ版とは全く違う雰囲気で描かれていることに、気がついたでしょうか?

アニメ版のジャファーは、ジャスミンの父親とそれほど年齢が変わらないにもかかわらず、無理やりジャスミンと結婚をしてジャスミンのお父さんであるサルタン(王)の地位を奪おうとするキャラクターとして描かれています。

しかし、実写版ではこの設定を変更し、ジャファーをアニメ版よりもずっと若い設定に変更しました。

その理由は、映画の舞台である中東では、未だに15歳以下の少女たちが年配の男性と結婚させられる「児童婚」が問題になっていることにあります。

そのため、若干15歳の設定のジャスミンよりもかなり年上のジャファーを登場させることは社会的に問題であるという見解により、ジャファーだけアニメ版とは違う設定になりました。

その②:出演者たちの人種の多様性


有色人種の役柄にあえて白人俳優を配役する「ホワイトウォッシング」がハリウッドで大きな問題となっている中で、実写版「アラジン」では多様な人種のキャストたちが出演していることも評価できるポイントの1つです。

監督のガイ・リッチーは、特定の人種に偏ることを避け、多様性を重視する事にこだわり、様々な人種のバックグラウンドを持った俳優たちをキャスティングしました。

例えば、アラジン役で主演を務めるメナ・マスードはエジプト系カナダ人で、ジャスミン役のナオミ・スコットはインド系と白人のミックスであることから、白人に偏らない多様な人種であることがわかります。

近年、このように多様性を重視した作品はどんどん増えてきています!

映画を見るときに、出演者たちの人種のバックグラウンドに注目して見てみるとよりその作品を楽しむことができるかもしれません。

その③:フェミニスト・新ジャスミンの登場

 

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今回の実写版でジャスミンが新たにフェミニストのキャラクターとして生まれ変わって登場しています。

ジャスミンは劇中で、女性だから王になれない、声を上げることができない社会に対抗し、立ち向かおうとしています。

これは劇中歌「スピーチレス」の歌詞にも表れていて、ジャスミンがこれまでのプリンセスとは違った「強い女性」として描かれているのが実写版「アラジン」の魅力でもあります。

また、新キャラクターとしてジャスミンのお世話をする侍女であり、親友のダリアの存在も現代女性の生き方を反映しています。

アニメ版には存在しないダリアを登場させた理由は、「男性に助けてもらわないと生きていけない」という女性に対する古い考えを払拭し、時代背景に合わせようとしたことにあります。

「現代の女性」としてよりリアルに描かれるジャスミンとダリアは、きっと世界中の女性たちに声を上げてもっと自由に生きる勇気を与えてくれることでしょう!

実写版「アラジン」が抱える問題


多様性を目指す努力をして制作された実写版「アラジン」ですが、実はその意味を履き違えているという批判もたくさんあります。ここではその一部を3つ紹介します。

問題点①:主演女優がインド系


実写版「アラジン」は中東が舞台の作品であるにもかかわらず、ジャスミン役のナオミ・スコットがインド系である事が疑問視されています。

この映画が制作される前のキャスティングの段階で、ジャスミン役の有力候補としてリトル・ミックスのジェイド・サールウォールの名前が上がっていると報じられました。

実は、ジェイドはイエメンとエジプトの血を引いており、アラブ系であるジャスミン役にはぴったりの候補者であったにも関わらず、インド系の女優がジャスミン役に決定したため批判が起きました。

確かにナオミ・スコットは歌唱力も演技力も素晴らしく、見事にジャスミンを演じていますが、もしこれが日本人の役なのに日本とは関係のない他のアジア系の俳優が選ばれたとしたらあなたはどう感じますか?

きっと誰も良い思いはしないはずです。

それと同じでキャラクターの人種的なバックグラウンドはその人種の人にとってとても大事な意味を持つのです。

多様性に関するセレブ達の反応をまとめた記事はコチラ↓

問題点②:文化に対するリスペクトの欠如


多様性を重視したいという監督の意向で人種の多様性だけでなく、様々な文化がミックスする事になった実写版「アラジン」ですが、個々の文化に対するリスペクトが感じられないという意見が多くあります。

実際に映画の中で、中東が舞台の作品のはずがボリウッド風の描写だったり、インドの伝統衣装を想像させるコスチュームが目立っています。

たしかに、文化的差異を乗り越えてダイバーシティを目一杯表現しようとするという考え方は素晴らしいですが、中東という設定でアラビア文化を中心に描かれているはずの作品の中で、色々な文化がミックスしていたら、アラビア文化が間違って認識される危険性もあります。

それも全部含めて「アラジン」の魅力だと言ってしまえばそれまでですが、これも自分の文化だったらどう思うか想像して見てください。

中東文化、アジア文化、黒人文化などのマイノリティの文化にはもう少しセンシティブに扱う必要があります。

問題点③:中東が舞台の作品に白人俳優


今回の実写版で新たに加わったキャラクターである白人のアンダース王子に対しても議論が勃発しています。

これも多様な人種を取り入れたいという監督の思いから生じてしまった問題の1つです。

アンダース王子は北欧の王国からジャスミンに結婚を申し込みにやってくるという設定のキャラクターで、アニメ版には存在しなかった実写版で新たに登場します。

新たに白人の王子役が加わった事に対し、白人俳優を登場させるためにわざわざ作られたキャラクターだと批判を受けました。

このように中東という舞台を忠実に再現するのではなく、リメイクして多様性を追求した監督ですが、マイノリティ側からすると、文化や人種を都合よく扱っているともいえます。

考察


映画を見た感想としては、マイノリティの文化の扱い方にリスペクトが感じられず正直残念な部分もありました。

ですが、新しい時代の強い女性としてのジャスミンの描かれ方だったり、多様な人種の俳優をキャスティングするように意識したという面では、制作側の努力が伺えたため素晴らしい作品だったと思います。

こうやってクリティカルな視点で見てみると、新しい発見に出会えてよりその作品が面白く感じられます。

また、ディズニーは実写版「リトル・マーメイド」の公開も控えており、アリエル役を黒人の血を引くハリー・ベイリーに決定したことで新たな多様性にチャレンジしようとしています。

ぜひこれからのハリウッド映画界の人種や文化の多様性の映し方に注目してみてください!

そして今を生きる若い私たちが、「これっておかしいんじゃない?」と立ち止まって考える問題意識を映画を通じて身につけてくれたらいいなと感じます。

Natsuki

1999年生まれの大学生。アパレルショップでアルバイトをしながらライターをしています。海外旅行とNetflixが大好きで、将来は海外で働くことが夢です。CE...

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